沖縄から緊急の呼びかけ-----------------転送・転載・アクション願います 2011年2月3日 沖縄ヤンバルの森と人々の暮らしを守ろう米軍ヘリパッド建設工事強行再開 ![]() 沖縄防衛局はヤンバルの高江地域に多数の職員を送り、住民らの抗議と対話の要求を押し切り、米軍ヘリパッド建設予定地に作業員を入れました。そしてとうとう、ヤンバルの森の木の伐採を本格的に開始しました。静かな暮らしとヤンバルの森を守るために、住民らが非暴力で止めきたヘリパッド建設工事が強行再開されたのです。 ![]() 今ヤンバルの森では,今後の展開が見えないまま、非常に緊迫した状況がつづいています。 ![]() ![]() 沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、ヘリパッド工事の強制再開と、それがもたらす高江の人々の暮らしの危機、そして世界の宝であるヤンバルの森の危機について、多くの人々に知ってもらうためにこのメールを送っています。 そして防衛局の建設工事を止めさせるため、それぞれが出来る行動を呼びかけています。 <ヤンバルの森> 沖縄本島の北部に位置し、約2万6千ヘクタールに広がるヤンバルの森は、1,000種以上の高等植物や5,000種以上の動物が生息する、日本のなかでも生物多様性の最も豊かな地域の一つです。そこには、絶滅危惧種のノグチゲラやヤンバルクイナを含む、数多くの在来種や固有種が生息しています。また森に抱かれるように小さな集落が点在しており、高江もその集落の一つです。 沖縄県は、琉球列島を世界自然遺産に登録する取り組みのなかで、ヤンバルの森を最も重要な地域の一つとして掲げています。また日本の環境省も、昨年10月に名古屋で開催された第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)の期間中に、ヤンバルの森を近い将来、国立公園に指定すると表明しました。それほどヤンバルの森は、重要な場所なのです。 <ヘリパッド建設> 一方、ヤンバルの森の大部分は1957年から米軍の訓練場として使用されており、現在でも森の30パーセントが米軍の訓練場となっています。そこにはすでに22の米軍ヘリパッドがあり、頻繁に使用され、騒音問題など多くの問題を起こしています。 それゆえ、ヘリパッド建設計画が公になった1999年以降、高江の住民はもちろん、NGOや科学者/専門家たちは、この建設がヤンバルの森全体と高江の集落に影響を与えると訴え、建設の反対や見直しの声をあげてきたのです。 その後沖縄防衛局は、ヘリパッド建設計画に対して環境アセスを行い、環境や高江集落に「影響はない」との結論をだしました。そしてその結論を根拠に、ヘリパッド建設を押し進めています。 しかしその環境アセス自体、ヘリパッド建設計画の全容を明らかにせず、透明性や信頼性に欠けるものであることがNGOや専門家より指摘されています。 また国際社会からもヤンバルの森に目が向けられ、日本政府や沖縄防衛局に対して明確なメッセージが届けられています。国際自然保護連合(IUCN)は、日本政府に2度の勧告を行い、ヘリパッド建設計画への懸念と、ヤンバルの森に生息するノグチゲラやヤンバルクイナの保護を求めています。 英国のGuardian紙は、先のCOP10において、沖縄防衛局に対して「沖縄の貴重な生物多様性に影響を与えない他の場所(での建設)を考慮せよ」としています。 それゆえ、多くの住民や支援者がヘリパッド建設計画についての説明や対話を要求し、反対の声をあげてきたのです。住民、NGO、学会などの働きかけがどれだけ多くされてきたか、下にまとめてありますのでぜひみてください。 <沖縄防衛局のスラップ訴訟> しかし沖縄防衛局は、ヘリパッド建設計画への反対や懸念にきちんと答えていません。 それどころか沖縄防衛局は、反対の声を封じ込めるために、ヘリパッド建設反対で座り込みをしていた高江の住民を、2008年11月に通行妨害で裁判に訴えました。 この「スラップ訴訟」で裁判所は、沖縄防衛局と訴えられた高江の住民に、裁判ではなく、話し合いにより解決することを求めました。しかし沖縄防衛局は話し合いを拒否したまま今日に至っています。 このような状況のなか、今回沖縄防衛局はヘリパッド建設工事を強行再開し、ヤンバルの森と住民に新たな緊張をもたらしているのです。 <みんなの声をとどけよう> 沖縄BDは、沖縄防衛局と日本政府に対して、ヤンバルの森における工事の即時中止を要求します。 そして、ヤンバルの森の豊かな生物多様性を保全し、地元住民の安全な生活環境を保障するため、沖縄防衛局と日本政府が、地元住民、NGO、専門家と「対話」を持つことを求めます。 ヤンバルの森と高江集落の人々の暮らしを守るため、沖縄防衛局、日本政府、沖縄県、そして米国に対して、メールや電話で、どうかみなさんの声を届けて下さい。 沖縄防衛局は、工事反対は「一部住民のもの」と繰り返しています。そうではないということを、みなさんの力で示してください。 沖縄・生物多様性市民ネットワーク 事務局長 吉川秀樹 yhideki@cosmos.ne.jp <連絡先 >(電話、ファックス、Eメールです) -沖縄防衛局 infomod@mod.go.jp Tel: 098-921-8131 Fax: 098-921-8168 -防衛省 infomod@mod.go.jp Tel: 03-5366-3111 -環境省 Tel: 03-3581-3351 https://www.env.go.jp/moemail/ -沖縄県知事公室基地対策課 okinawa@pref.okinawa.lg.jp Tel: 098-866-2460 Fax: 098-889-8979 -那覇アメリカ領事館 NahaACS@state.gov Tel: 098-876-4211 Fax: 098-876-4243 -アメリカ大使館 http://tokyo.usembassy.gov/e/info/tinfo-email.html Tel: 81-(0)3-3224-5000 Fax: 81-(0)3-3505-1862 -在沖米国海兵隊 OkiMarWeb.MCBB.FCT@usmc.mil -米国国防省 http://www.defense.gov/landing/questions.aspx ---------------------------------------------------------------------- 以下は高江やヤンバルの森、そしてヘリパッド建設や 様々な取り組みについての情報です ---------------------------------------------------------------------- <ヤンバルの自然について> -沖縄県 「やんばるの自然」 (「沖縄島の自然—美しき海、島々、生き物—」より) http://www.wonder-okinawa.jp/004/j/yanbaru/index.html -環境省 インターネット自然研究所「ようこそやんばるへ」 http://www.sizenken.biodic.go.jp/park/okinawa/topics/4/ -Japan Hotspot「亜熱帯照葉樹林が生い茂るヤンバルの森」 http://www.japanhotspot.net/feel/photos/importantecosystem/010001/ -科学論文「沖縄やんばるの在来種に差し迫る絶滅の危機」 伊藤嘉昭、宮城邦治、太田英利 (2000年10月) Oryx, Volume 34, Issue 4, pages 305–316, October 2000. http://bit.ly/eOukrA(英文) <ヤンバルの森の大切さは、これまでの行政、市民、NGOの様々な取り組みや活動で 知ることができます> ○沖縄県の琉球諸島を世界自然遺産に登録する取り組み 沖縄県自然保護課 世界自然遺産のページ http://www3.pref.okinawa.jp/site/view/contview.jsp?cateid=70&id=19697&page=1 -やんばるの森の写真が表紙のパンフレット http://www3.pref.okinawa.jp/site/contents/attach/10667/H17-1_Pamphlet(P1-P15).pdf ○環境省のヤンバルを国立公園にする取り組み -環境省 中央環境審議会自然環境部会自然公園小委員会(第20回)議事録(2010年10月) http://www.env.go.jp/council/12nature/y121-20a.html 同小委員会資料13「国立・国定公園総点検事業について」 http://www.env.go.jp/council/12nature/y121-20/mat13.pdf -朝日新聞記事「慶良間諸島・やんばる、国立公園候補に」(2010年10月) http://mytown.asahi.com/areanews/okinawa/TKY201010040425.html ○行政や市民のヘリパッド建設についての説明・対話の要求/反対の声 -高江の住民の日々のブログ「やんばる東村高江の現状」 http://takae.ti-da.net/ -東村高江ヘリパッドいらない住民の会「Voice of Takae」 (2008年6月) http://nohelipadtakae.org/files/VoT2008June.pdf スラップ訴訟の現状が書かれている最新版 http://nohelipadtakae.org/files/VoTadd-info2010april.pdf -沖縄・生物多様性市民ネットワークの沖縄防衛局への高江ヘリパッド 建設計画に関する公開質問状(2010年6月) http://nohelipadtakae.org/files/openlettertoBDfromBD.pdf -東村高江区のヘリパッド建設反対決議について (1999年10月) http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-95754-storytopic-86.html -東村高江区のヘリパッド建設建設反対決議について (2006年2月) http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-11420-storytopic-1.html -東村高江区のヘリパッド建設阻止行動決議について (2007年1月) http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-20539-storytopic-3.html -東村のノグチゲラ保護条例 (2010年6月) 会議録平成22年6月定例会(4回) http://bit.ly/gdWXcm The Japan Times 記事 “Village moves to save rare woodpecker” [ノグチゲラ保護へ村動く] (2010年6月) http://search.japantimes.co.jp/cgi-bin/nn20100611b5.html -大宜味村のヘリパッド建設反対決議(2010年6月) http://okinawaforum.org/disagreeblog/2010/06/post_168.html ○ NGOからの働きかけ -WWFジャパン・ブロッコリーの森を守る会 「やんばるの森にヘリパッドはいらない」(2007年6月) http://www.wwf.or.jp/activities/lib/yanbaru0706.pdf -日本自然保護協会(NACS-J) 「『沖縄県北部訓練場ヘリコプター着陸訓練場事業(仮称)』に対する意見」(2006年4月) http://www.nacsj.or.jp/katsudo/yambaru/2006/04/post-7.html -日本自然保護協会(NACS-J) 「『沖縄県北部訓練場ヘリコプター着陸訓練場事業(仮称)環境影響評価図書案』に対する意見」(2006年3月) http://www.nacsj.or.jp/katsudo/yambaru/2006/04/post-7.html -日本野鳥の会やんばる支部「北部訓練場ヘリパッド移設候補地の見直しについての要望書」(1999年3月) 「第6回WWF全国セミナーin 南西諸島、21世紀への自然保護作戦会議Ⅵ 多様な生態系の保全」 (1999.12開催講演録)(2000.6, p.27) (以下、「WWF講演録」) http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html ○ 専門家からの要望 -沖縄生物学会 ヘリパッド建設計画の見直しを要望(1999年1月) ヘリパッド建設計画への反対を決議(1999年5月)「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html 「環境調査検討書」の見直しを要請(2002年8月) http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-103850-storytopic-86.html -日本生態学会 「沖縄島在沖米海兵隊北部訓練場内ヘリパッド建設予定地の見直しに関する要望書」(1999年3月) http://www.esj.ne.jp/esj/ESJ_NConsv/1999Helipad.html -日本鳥学会 「沖縄島在駐米軍北部訓練場内ヘリパッド移設計画の見直しの要望書」(1999年10月) http://wwwsoc.nii.ac.jp/osj/japanese/iinkai/hogo/yambaru.html -昆虫学会 ヘリパッド建設見直しの要望書を提出 (伊藤他 2000年] http://bit.ly/eOukrA(英文) -日本応用動物昆虫学会 ヘリパッド建設見直しの要望書と署名を提出 (1999年7月) 「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html -日本鱗翅学会 へリパッド建設見直しの要望書を提出(1999年11月)「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html -日本爬虫両生類学会 ヘリパッド建設見直しの要望書を提出(1999年11月)「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html -植物分類地理学会 ヘリパッド建設見直しの要望書提出を決議(2000年2月)「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html -日本植物分類学会 ヘリパッド建設見直しの要望書提出の決議(2000年3月) 「WWF講演録」 http://library.baidu.jp/view/9fec68eae009581b6bd9ebae.html 「『北部訓練場ヘリコプター着陸帯移設事業(仮称)に係わる環境影響評価図書案』に関する意見書」(2006年3月) http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsps/letter/pdffile/NL21.pdf ○ 国際社会からの呼びかけ -IUCN(国際自然保護連合)第2回会議での勧告 (Rec.2.72) 「沖縄島およびその周辺のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」 (2000年10月) http://www.nacsj.or.jp/katsudo/iucn/2000/10/1010-1.html http://data.iucn.org/dbtw-wpd/edocs/WCC-2nd-002.pdf (英文) -IUCN(国際自然保護連合)第3回会議での勧告 (Rec.3.114) 「日本のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」(2004年10月) http://www.nacsj.or.jp/katsudo/henoko/pdf/041117iucn_dugong_j.pdf (案) http://data.iucn.org/dbtw-wpd/edocs/WCC-3rd-004.pdf (英文) -英国紙 The Guardian 「生物多様性100:アジアのアクション」[Biodiversity 100: Action for Asia]に ヤンバルの森を選定(2010年10月) http://www.guardian.co.uk/environment/2010/oct/04/biodiversity-100-actions-asia (英文) -ゼロ絶滅連盟(世界20カ国、68の研究機関やコンザベーション・インターナショナルなどの 環境保護団体で成るthe Alliance for Zero Extinction, AZE) 最優先保護地587カ所がCOP10の場で発表され、ヤンバルの森が選定された。(2010年10月) http://bit.ly/hdKefN(英文) http://www.zeroextinction.org/sitedata.cfm?siteid=584 (英文) -生物多様性センター [Center for Biological Biodiversity](米国) 「ノグチゲラの保護を」[Save the Okinawa Woodpecker](2003年12月) http://www.biologicaldiversity.org/species/birds/Okinawa_woodpecker/(英文) -アメリカ鳥類保護協会 [American Bird Conservancy] 移設場所の変更の要望書提出、沖縄県への働きかけ(2001年5月(8月)) http://www.abcbirds.org/newsandreports/birdcalls_pdf/bc01aug.pdf(英文) [参考] IUCNは、ここまではっきり書いています。 ノグチゲラ http://www.iucnredlist.org/apps/redlist/details/141804/0 (原文英文) Major Threat(s): Its decline is primarily attributable to deforestation, which continues at a significant rate as a result of logging, dam construction and associated road-building, agricultural development and golf course construction. Construction of six new helipads near the village of Takae in the US Marine Corps Northern Training Area began in 2007 and represents a further potential threat to remaining areas of forest. The species’ limited range and tiny population make it vulnerable to extinction from disease and natural disasters such as typhoons. 主な脅威:伐採、ダム建設やそれに伴う道路建設、農業開発、及びゴルフ場建設による著しいペースでの森林破壊が、ノグチゲラの減少の主な原因とされる。2007年から米軍海兵隊北部訓練場に隣接した高江で、新たな6ヵ所のヘリパッド建設が始まり、ヤンバルの森の残された部分へのさらなる脅威となっている。この種(=ノグチゲラ)は生息地が限られておりまた個体数も少なく、病気や台風などの自然災害により絶滅の危機にさらされやすい。 |