結成の趣意書

沖縄・生物多様市民ネットワーク結成の趣意書


2011年6月11日制定


 2010年10月に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)およびカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)は、沖縄の「市民社会」にとって、自然環境と私たちの暮らしの関係を見つめ直し、沖縄の生物多様性の現状と課題を内外に伝えていく重要な機会となりました。

 特に、COP10/MOP5に向けて結成された(前)沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)は、沖縄の亜熱帯・島嶼の独特な生物多様性と歴史的経験を踏まえ、「環境」「平和」「人権」の繋がりに視点を置き、沖縄の生物多様性とその保全の重要性を訴えるため、様々なり組みをおこないました。

 そしてその取り組みは、沖縄における生物多様性や生物多様性条約への関心の高まりや、COP10/MOP5での「名古屋COP10沖縄宣言」「CBD市民ネット沖縄地域作業部会ポジションペーパー」「CBD-COP10開催国日本の開発行為に対するNGO共同宣言」、「生物多様性に関する国際先住民族フォーラム(IIFB)」の最終声明における辺野古の基地建設問題への言及などへと繋がっていきました。

 沖縄BDの取り組みを通して私たちは、1)
沖縄の生物多様性に関わる課題は、複雑で多義にわたり、課題解決は決して容易ではないこと、2)課題解決のためには、継続した取り組みが不可欠であり、特に 人と人、考え方と考え方、活動と活動が結びつく「ネットワーク」が不可欠であること、3)「環境」「平和」「人権」への繋がりへの視点は、国際社会の他の多くの地域と共有するものであり、そのような地域との結びつきのなかに問題解決のための新たな可能性があることを、確認してきました。

 COP10/MOP5では、「愛知目標」「名古屋議定書」「国連生物多様性の10年」などの国際決議が採択され、「生物多様性条約」の三つの目的(①生物多様性の保全、②生物資源の持続的な利用、③その利用から生じる利益の公正かつ衡平な配分)の達成に向けて、より具体的な目標や取り組みが示されました。しかし同時に、「市民社会」と政府・国際機関との間には、解決しなければならない様々な課題があることも確認されました。そして、国際決議の実現のためには、その課題を乗り越え、地域社会を基盤にした「市民社会」が、これまで以上に政府や国際機関に積極的に関わっていくことが必要であることが確認されました。

以上を踏まえ私たちは、(前)沖縄BDの後継組織として、
COP10/MOP5への取組みを通して積み上げて来た(前)沖縄BDの「環境」「平和」「人権」の繋がりに視点を置いた取り組みを継承・発展させ、COP10/MOP5で示された成果の実現と課題の解決をめざし、沖縄において
取り組むため、沖縄・生物多様性市民ネットワークを設立します。




目的


本会は、COP10/MOP5への取組みを通して積み上げてきた(前)沖縄・生物多様性市民ネットワーク(沖縄BD)の「環境」「平和」「人権」の繋がりに視点を置いた取り組みを継承・発展させ、沖縄において、COP10/MOP5の成果の実現と課題の解決をめざして活動することを目的とする。



活動


 (1)情報の共有ならびに発信

  • 生物多様性ならびに生物多様性条約について、普及啓発をおこなう。
  • 会員や本会の賛同者の情報共有ならびに発信活動に対し、支援をおこなう。


 (2)行政、国際機関への関わり

  • 生物多様性条約および国内外の関係法令を踏まえ、行政や国際機関の生物多様性に関わる取り組みに対し、積極的に関わっていく。

 (3)会員と賛同者の拡大、ならびに市民社会との交流と連帯

  • 上記の活動のために、会員と賛同者の拡大をおこなう。
  • 生物多様性や生物多様性条約に関わる活動を行う他の「市民社会」組織との交流と連帯をはかる。


活動にあたっての基本原則

  • 本会は、沖縄に拠点をおく「地球市民」の会という立場から活動する。
  • 本会は、会員の主体性を基盤に活動する。
  • 本会は、公開性と透明性をもった民主的な意思決定プロセスを基盤として活動する。





(参考資料)2009年設立、沖縄・生物多様性市民ネットワーク結成にあたって作成した趣意書

2009年7月25日制定

  亜熱帯に位置し、豊かで独特の生物多様性をもつ島嶼沖縄では、その豊かな自然環境を基盤に、独自の伝統・文化や暮らしが、長い歴史を通して育まれ、継承さ れてきました。そして「沖縄戦」「米軍統治」「日本復帰」「開発」という20世紀の経験を通し、「戦争」と「乱開発」が自然環境、伝統・文化、そして人々 の暮らしを破壊することを、私たちは知りました。同時に、沖縄の歴史からのメッセージ「命どぅ宝」の大切さを、再確認しました。そして今、21世紀を迎え た私たちは、「環境」「平和」「人権」が尊重され、世界の人々がよりよい暮らしを追求できる社会の実現を、これまで以上に求めています。

 私たちは、2010年10月、愛知県名古屋市で開催される生物多様性条約(以下CBD)の第10回締約国会議(以下COP10)ならびにカルタヘナ議定書第5回締約国会議(以下MOP5)を、そのような社会の実現に向けて行動を起こす、重要な機会だと考えます。

  「地球に生きる命(いのち)のための条約」と言われるCBDは、自然保護、生物資源の持続可能な利用は勿論のこと、平和、開発と貧困、先住民族の権利・伝 統的知識等、沖縄と密接に関係する問題に取り組んできました。CBDはまた、その包括的目的を達成するために、多様な主体が地域、国全体、地球規模で取り 組むことを提唱し、特にNGO/NPO、個人、さらには企業を含む「市民社会」の参画を重視しています。

 私たちは、CBDの精神とその 取り組みに賛同し、COP10/MOP5に向けて、沖縄を拠点とした地球市民という立場で、主体的に活動するためのネットワーク、「沖縄・生物多様性市民 ネットワーク」(略称:沖縄BD市民ネット、英名:Citizens’ Network for Biological Diversity in Okinawa)を結成します。


目的

 生物多様性条約の1条に賛同し、生物多様性ならびに生物多様性条約について学び、同時に、これまで蓄積した沖縄の「環境」「平和」「人権」への取り組みを、生物多様性の観点を通して、国内外へ発信し、共有するために活動する。

活動

(1)基盤づくり

  • 多様な市民が参加できる、情報共有の場をつくる。
  • 生物多様性ならびに生物多様性条約に関する広報・教育・普及啓発・研究をおこなう。
  •  国、行政、NGO/NPO等の関係組織に対して、会員や賛同者が参加・活動する場を確保するように働きかける。

(2)条約への関わり

  • 国内外の「市民社会」との連絡調整をおこなう。
  • 国内外へ「環境」「平和」「人権」を守るための提言や働きかけをおこなう。

(3)参加主体の拡大と交流

  • 上記の活動のために、参加主体の拡大をおこなう。
  • COP10/MOP5に参加する他の「市民社会」、特に同じような問題を抱える「市民社会」との、交流を行い、相互理解を深める。


活動にあたっての基本原則

  • 本会は、上記共通の目標実現のために一つの連携組織としてまとまることの重要性を認識し、合意形成に努める。
  • 本会は、十分な公開性と透明性を保障する民主的な運営に努め、お互いに対等な構成員が合意できる意思決定プロセスを追求する。
  • 本会は、生物多様性が地球規模の課題であり、COP10/MOP5が国際社会のための意思決定の場であることを明確に認識し、地球市民としての考え方および行動を尊重する。
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